「死にたい」と言われた時

子どもが
「死にたい」と、言ってくることがあります。

表情は必ずしも暗いわけではなく、
学校でも
特に目立った問題はないかもしれません。

しかし、
子どもの「死にたい」という言葉は、
軽く受け流してはいけません。

「死にたいと言っている子は自殺しない」
「気を引くためにわざと言っている」
「死にたがっている子に、自殺したい気持ちについて色々聞いたりすると、
 かえって自殺への行動を現実のものにしてしまう」

と、一般には思われているようです。

そのため、
子どもが死にたい気持ちを打ち明けても、
それを聞いた人から
軽く受けとめられたり、
聞き流されたりすることがあります。

「死にたい」という言葉は衝撃が強く、
聞いた周りの人はその言葉に少なからず動揺します。

「死にたいと言っている子は自殺しない」
「嘘を言っている」
と思うことで
自らの気持ちを落ち着かせ、
「何を馬鹿なこと言ってるの」と、
子どもの言うことを否定したり、

または
自分の心を動揺させられた怒りから、
「『死にたい』なんて軽々しく言うものじゃない」
「生きたくても生きられない可哀想な人もいるのに」
と言って叱責してしまうのも
無理はありません。

結果、子どもは
「真剣に受け止めてもらえなかった」
「分かってもらえなかった」
という気持ちを味わうことになってしまい、
かえって
自殺への気持ちを強くしていることがあります。
(表面では「てへへ~」と笑って過ごしているのだとしても。)

「死にたい」と言っている直後に自殺することは、
そう多くないかもしれません。
「死にたい」と言葉にして口から出すことで、
気持ちは少し楽になるからです。

しかし、
「死にたい思い」を打ち明けながらも
そのまま放っておかれるという経験を繰り返せば、
自分は大切にされる価値のない人間だという思いが強くなり、
その後その子が
自殺遂行に至る危険性は、十分あるのです。

「死にたい」と子どもが言って来た時は、
必ず
真剣に耳を傾けないといけません。

「自殺はいけないことだ」
「親不孝だ」
「周りが悲しむ」など、
社会倫理や他者を持ち出して
相手の自殺を止めようとする人もいますが、
そのような言い方では、
相手の心には何も響きません。

社会が、第三者が許さないよ、という言い方は、
どこか自分の気持ちを誤魔化し
他に(相手に)責任を転嫁して対処しようとしています。

相手のことより
自分自身の心の安寧の方が大事なのだと、
死を真剣に考えている人には、すぐ見破られます。

無責任な態度では、
死を考えている人を止めることはできないのです。

本当に今、心から感じていることを言葉にしないと
相手の真剣な気持ちを
受け止めることは出来ないのです。

日本人は、人を叱る時や行動を止めさせようとする時、
「○○さんが悲しむよ」「世間が何て思うか」など、
 第三者や周囲の目を引き合いにして、
本人に思いとどまらせようとする言い方が多いのです。

「第三者があなたをどう思うか」ということが、
本当に伝えたいことでしょうか?
「私はあなたに死んで欲しくない」が、
本当の気持ちのはず。

「死にたい」と子どもが打ち明けてきた時は必ず、
「僕はあなたに死んでもらいたくない」
と、
一番伝えたいことを
真剣に
言葉にしないといけません。

誠実さのない心では、
真剣な心と向き合うことは出来ません。
少しでも言葉に嘘や欺瞞、躊躇いがあったら
すぐばれてしまうのです。

その子の
「死にたい」気持ちから目をそらさず、
真剣にその「死にたい気持ち」を聞いてあげること。

死にたい気持ちを吐き出させてあげることは
その子の辛い気持ちを楽にすることでもあります。

・それは死にたいくらい辛い思いをしているということなのか、
 それとももう二度と目を覚ましたくないと思っているということなのか、
 どのくらい死にたいと思っているのか、
・自殺の方法、計画を実際考えているのかどうか、
・あるのならどのような方法で死ぬつもりなのか、またはしたのか、等

自殺したい気持ちについて具体的に聞いていくことは、
自殺したい気持ちや不安が、かえって和らいでいくものです。

例え本気で「死にたい」と言っていたわけではなくても、
自分の気持ちを真剣に受けとめてもらえたという経験は、
子どもにとって
決して悪いものではありません。
(「冗談が通じない奴」とは思われることはあるかもしれませんが。)

子どもに「死にたい」と打ち明けられ、
真剣に受け止められず
その後本当に自殺してしまった時の
後悔や苦しみは、
「冗談が通じない奴」扱いされる苦しみの比ではないのです。

死なれてからでは何もかも遅いのです。

2011.8.3
自殺対策-内閣府-WHO による自殺予防の手引き



 


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